第2章 with YOU (平川)
マンションから少し歩いたとこにある公園のベンチに座り、遊具で遊ぶ子供たちを眺める。
さっきから平川さんは、微笑んで見ている。
「子供好きなんですか?」
「え?あ…うん。」
「無邪気で可愛くて。」
「でも、時に残酷で…」
「俺たち大人には無い良さがカレ達にはあるんだよね。」
「まぁ、純粋に一緒に遊んで楽しんじゃう事もあるけど。」
「見てるだけでも飽きないよ。」
「ここにはよく来るんですか?」
「うん。たまにね。」
「でも、大の大人が平日の昼間にいたら不審がられるから…」
クスッと笑うと、平川さんもフフッと笑う。
「ねぇ…紗友ちゃん…」
ポツン…
「えっ!雨?」
ポツン…ポツン…。
空を仰ぐと、さっきまで晴れていた空に暗い雲がかかっていた。
子供たちも母親たちに連れられて、逃げるように去っていく。
ポツン…ポツン…ポツン…
「走ろう!」
手を引かれて、雨の中を走る。
白いシャツが雨に濡れて、肌に張り付く。
背中が透けて、色気を纏う。
引かれるこの手に意味は無いんだろうな。
少し切なくなるけど、こうして雨の中を走るだけで十分……。