第11章 VOICE(達央)
「ごめんな…」
「あっ…えっと…」
スッと隣の席に諏訪部さんが座る。
「酔って絡むことなんて、普段無いんだけど…」
「どうしたんだろうな。」
「えっと…」
「ははは。さっきから『えっと…』ばっかりだな?」
「えっと…あ…すみません!」
「そんなに緊張するなよ?」
「これから同じ現場で過ごすんだからさ。」
「はっはい!よろしくお願いします。」
「俺は、諏訪部。キミは?」
「桐島紗友です!」
「へー。事務所の名前言わないんだね。」
「すみません!アクセルワンです!」
「別に悪いことしてないんだから、謝らないでよ。」
「すっすみません!」
フッと笑って、唇に人差し指を立てる。
「俺、自己紹介で事務所の名前言うの違和感あってさ。」
「だから、桐島さんが言わなかったから共感持てたんだよね。」
目を細めて、前屈みになって私の顔を覗き込む。
次々と憧れの人が現れる。
私の頭と心臓は破裂しそう…。