第5章 金曜日
「メンバーが増えて楽しそうだな」
看護婦と入れ違いに全蔵がにやにやしながら病室に入ってきた。
小脇に抱えた錦百合の鉢を河井のベットサイドにトンと置く。
「全蔵殿、これは?」
熱視線を上げた河合にシッシと手を振って、全蔵は片口を上げた。
「や、こっち見んな。こらァ俺からじゃねえよ・・・・・入れよ」
「え?」
ザワ・・・・ザワ・・・
全蔵の後ろから現れたヒゲ子ー萬里小路綾雁を見て、チーム211がザワめいた。
「・・・・・止めろって。俺はカイジは嫌いなんだ。何そのザワ・・・・ザワ・・・って。普通にザワザワしろよ、イライラするったらねァが・・・ッ」
顔をしかめた全蔵の額をスカーンと存在意義を抹消されたヤンジャンが直撃する。
のけ反った顔を起こして全蔵は額を押さえた。
「・・・・・おいコラ。誰だ」
「はぁーい。ボクでーす」
銀時が怠そうに湯呑みのイチゴ牛乳を啜りながら手を挙げた。ピシッと額に青筋を浮かべて、全蔵と綾雁を見較べる。
「お前、こんなクソの役にも立たねえような見舞いよこした挙げ句に何一人でよろしくやっちゃってんの?読めない雑誌の次は触るな危険の黄金の左ですか!何がしたいのよ、この切れ痔だかイボ痔だか知らねえけど、ガッツリ尻を患ったシックヒップ忍者は?バカじゃないの?てかバカだよね?何かすんげえ腹立つんですけどォ?おい誰か酢昆布にマヨネーズ盛ってコイツの尻に突っ込んでやれよ。尻からジリジリ酸っぱ死にさせてやれ。俺はコイツの尻に触るなんて保険に入れてやるって言われても絶対ヤだけどな!ああ、絶対お断りだよ!」
「バカはお前だ。頭がムチ打ち起こしてるぞ。ギブスの場所変えた方がいいな?手伝ってやるか?」
拳を握った全蔵に目を吊り上げた土方が加勢する。
「マヨネーズはボラギノールじゃねえぞ。クソ下品な事言いやがって、胸糞悪ィ。テメエマヨネーズに謝れ?あ?」
「こらいいや。三つ巴で相討ちしちまってくれたら面白ェんですがねィ?」
「止めろ。煽るな、総悟。病室で騒ぐもんじゃない。周りの迷惑になるぞ。・・・・・それより服部さんよ。ちょっと看護婦さんに言って俺のスピリッツ返して来て貰えねえか?」
「止めとけって近藤。ヒゲ子ちゃんにまた吹っ飛ばされるぞ?黄金の左は人生一回の珍味にしとけよ、な?」