第5章 ディルムッドの場合
「ランサーはまだ会っていなかったか?最近マスターが召喚したリリィだ」
オルタが朴訥に云う。
白いドレスに軽装ながら鎧を纏った姿にディルムッドは些か安心した。
「若き日のまだ未熟であった頃の私だそうだ」
オルタは全く臆面もなくホイッパーで抱えたボールの中身を混ぜながら云う。
「今日はマスターがセイバークラス用のチョコクエストを周回して下さいました。これはきっと私の為に違いありません。ディルムッドさんも一緒にチョコ、作りませんか?」
リリィは明るい声で云う。
凛々しく王を自称していたアルトリアも美しかったが、この若者はこれはこれで可憐な乙女で愛らしいな、と彼は相好をくずす。