第40章 月島蛍は審神者である。4
「何?」
振り向いた月島はギョッとして目を見開く。
山姥切はブランケットのフードを下げその美貌を晒していた。
「お、俺は…き、綺麗か?」
それは顔の話なのか一一清潔、という意味なのか?
取り敢えず一一。
「山姥切は、綺麗だよ」
くしゃ、と柔らかな髪を撫でる。
「ん。なら、良い」
そっと身を引き山姥切はフードを被り直す。
「薬研や、妬けるのぅ」
「天下五刀が盗み聞きとは世も末だぜ」
ドアに耳をピタリと付けて聞き入る三日月に薬研がため息をつく。
「そう。俺はかの名物、天下五刀が一つ、三日月宗近ぞ。よもや何年も後に生まれた刀に負けるとは……うん、何やら妬けて妬けて仕方がないの。初めての感覚ッ」
グッと拳を握る爺に薬研は再びため息をつく。
「ま、そりゃ誰だって初めて持った刀は特別なもんだろ」
「ほんになぁ。しかしやはり何とも妬ける、悔しい。しかし確かに山姥切のは美しい。あゝ、人の身とは難儀よの」
フ、フと笑い扇を広げる三日月。
部屋の戸が開く。