第39章 月島蛍は審神者である。3
「山姥切、さん?すごいね」
山口がタオルを手に恥じ入る山姥切に話しかける。
「え、と」
「俺、山口。山口忠」
そばかすの少年に云われ山姥切は頷く。
「やま、ぐち」
「ん。あの、俺、幼馴染なんだ。ツッキーとは…だから珍しいなって、ほら、ツッキー、月島くんは…清潔とか好きだし、部屋とかもあんま見せないし」
山口の言葉に山姥切は手にしたタオルに顔を埋めた。
「違う…」
「え?」
問い返す山口に山姥切はそっと体を丸める。
一日中戦い汗等気にかけもしなかった。
戦果を上げ、鍛刀した新しい剣を献上すれば月島は喜んでくれる筈だと思っていたのに。
天下人は皆それを歓んでいた。
山姥切の持ち主だって一一。
山姥を切っていない、一一山姥切国広。
山姥を切った、一一山姥切。