第39章 月島蛍は審神者である。3
「べ、別に月島がそうしろというからッ」
「あいあい分かっておる。さて、薬研や行くか」
「おう。大将に勝利の黒星を捧げなきゃな」
三人は門を出る。
適当に初期マップを周回し敵を根絶やしにしていく。
初期マップの時代逆行軍が天然記念物に指定されかねない程狩った辺りで日が暮れ始めた。
「さて、帰るか。大将に今日の戦果を報告だ」
機械を操作して本丸に戻る。
鍛刀室を覗けば朝仕込んで行った刀が出来上がっている。
「薬研よ。湯浴みがしたい」
三日月が洗った手を拭いてもらいながら云い、薬研も頷く。
「その前に割り当てられた畑仕事しような、じいさん。あ、山姥切の旦那は新しい刀を大将に渡してやってくれ。俺等は伯父貴と三人で畑仕事やらして夕餉作るからサ」
何やら意味有り気にうぃんくする薬研に山姥切は額に張り付いた前髪を拭いながら頷く。
「承った。薬研も余り無理はするなよ」
ポンと細い肩を叩けば少年は大丈夫だと親指を立てる。
「山姥切の、俺も蛍に会いにゆきたい」
うきうき、と云う三日月に薬研はその手を取る。
「じいさんは畑仕事をしたらな」
「薬研、いけずを云うな。俺も頑張って戦った、褒美が欲しい」
ぶうたれる三日月に薬研はドロップで手に入れた鳴狐のお供をひょいと肩から取り爺の手に乗せた。
「ほれ、褒美だ、褒美」
「本物のふぉっくすふぁーか。やわらかい」
気に召したらしい三日月が笑う。
鳴狐は黙ったまま宙を見ていたし、薬研は早く行けと山姥切に手を振る。