第39章 月島蛍は審神者である。3
「月島……何といったか……桜?は忙しいのう」
ふふっと笑う三日月に薬研がツメをヤスリながら答える。
「今は見てるのが桜だから気になるのもわかるが大将は『蛍』だ」
「ほたる」
「けい、だ!」
山姥切が強く云うので三日月はほ、ほ、と声を立てて笑う。
「まあ大将は忙しい身だ、今日のスケジュールは教えてくれてあるし、これが終わったら三人で出撃だぜ」
薬研が最後に爪全体に優しくやすりをかけながら云う。
三人で本丸の門の前にある機械の前に立つ。
「これが月島様より預かりました刀装です」
こんのすけが作られた刀装を各々に配る。
「何やら山姥切のはまばゆいのぅ」
山姥切は特の刀装が二つだ。
それに対し三日月のは並である。
薬研は銃兵の並であった。
「それから山姥切様にはこれを持たせるようにと」
こんのすけはあくまで事務的に主人からの伝言を続ける。
口に咥えられたのはお守りだ。
「これがあれば一度刀装を破られ重傷を負っても代になってくれます」
お守りを山姥切に渡しながらこんのすけ。
「山姥切は愛されておるのぅ。天下五刀として生まれ尊ばれるのが当たり前だった俺には何やら妬ましい」
三日月がフ、フと笑う。