第39章 月島蛍は審神者である。3
夜着に召し変えてもらい眠り給餌をしてもらい朝飯をたいらげ着物を付けてもらい今は伸びた爪を切ってもらう。
それは三日月宗近には当然の事であり、何の違和感も持っていない。
強いて云えば主の秘蔵っ子の山姥切にも側にいてほしかった。
三日月宗近は美しい物が好きだし刀も人斬りも大好きなのだ。
それが『粋』だと刀として教わってきた。
トントンと廊下を鳴らしながら歩いてくる気配に気が付き顔を上げれば回廊を山姥切が歩いてくる。
手でおいでと招けば気が付いた彼が歩いてきた。
「おはよう山姥切の。主はどうした?」
三日月が聞けば彼は恥ずかしそうにまんば布を目深にかぶり直す。
「がっこうという寺子屋に行くから本丸にいろと云われた」
しゅんと三日月の隣に腰掛け項垂れる彼にほ、ほ、と美刀は笑う。