第39章 月島蛍は審神者である。3
次の日一一、
「薬研や、何故爪は切らなくてはならぬのか」
パチンパチンと爪切りで指先の手入れをしてもらい適当に薬研が作った茶を飲みながら三日月。
「じいちゃん、そりゃさ、刀抜こうとしたら爪が引っかかって剥けちゃったとかなったら痛いからだよ」
白い手を取りパチンパチンと爪を切り整えながら薬研。
「刀だった時には考えなんだ。人の身とは案外に不便よのう」
片手でやはり薬研に用意してもらった煎餅をかじりつつ三日月。
彼はじいさんでありボンボンであった。
召し変え一つ自分の仕事ではないと思っていた。
彼の仕事とは唯一。
一一人斬り。
後は飾られ眺められる。
長らくそんな生活をしていたので人斬り以外には何も知らない。
人斬りにして純粋無垢。
アンビバレントながらもそれは確かに同居していた。