第37章 月島蛍は審神者である。2
ぐるりと寝返れ一一ば、ぱっちり目を開きまんば布を取り払った山姥切国広がいた。
審美眼はある方だと思う。
自分がどちらかといえば整った顔立ちに分類される方だという自覚もある。
一一それをもってしてもやはり山姥切国広は美しかった。
堀川作ではないただの山姥切が人の姿を取ったらどうなるか知らないが、山姥切国広はやはり刃の鋭さを失わぬ貌をしている。
これは三日月宗近がまんば布で隠して歩くな、と云うのも当たり前だ。
「…………ッ!」
急いで何かを被ろうとわたつく山姥切の腕を掴む。
「山姥切国広」
名を呼ぶ。
それは精一杯の虚勢を含んだマウンティング。
「な、なっ、……」
真っ赤になってよじよじと身をよじる山姥切を尚も抑えつける。
「僕を欺くな」
目を見て真っ直ぐに云う。