第37章 月島蛍は審神者である。2
「う、写しの俺がアンタと同衾なんて……」
「同衾とか誤解を招きそうな表現やめて。別にベッド一つしかないから仕方なく一緒に寝るだけだし」
「や、やはり俺は床で……」
「良いからッ、黙って寝る!」
再び背中を突き合わせ月島は寝る体制に入る、が、何というかもぞもぞと山姥切が動く度自分の部屋とは違う匂いが鼻をかすめ落ち着かない。
「月島……?」
しばらくするとやっと落ち着いたのか動かなくなった山姥切がそっと囁く様に主人を呼ぶ。
返事をしかけ……ふと、こんのすけの言葉が頭をよぎる。
『彼等は貴方の手駒でありながらも神は神。いつ神隠しに合うとも限りませぬ。ゆめゆめそれをお忘れなく』
神に名を呼ばれ返事をしてしまい現世に帰れなくなる一一。
そんな話は幾多とある。
現と彼岸の境を越えるには呼びかけに答える事だと。
ふとそんな不安が過り唇を噛む。
臆するのは何だか悔しい。