第37章 月島蛍は審神者である。2
ハァ、と息をつき月島はメジェド山姥切を見る。
暫くキョロキョロと視線を彷徨わせていたがそっとまんば布の合間から顔を出す。
「山姥切」
呼べばパァとまんば布の下から碧緑の瞳が輝く。
「もう寝るケド……どうする?」
寝台は成長期の月島に合わせて大き目な物が用意されてはいるが、成人男子相当の二人が悠々寝れるという程ではない。
「俺は写しだから床でも構わない」
おず、とまんば布を引き寄せる山姥切に月島はハァと再びため息をつく。
「狭いけど、一緒に寝る?」
我ながらイカレタ話だとは思うが、『審神者』とやらを引き受けた以上面倒を見ないわけにはいかない、とも思う。
こんのすけは帰り際『月島様、良いですか?彼等は貴方の手駒でありながらも神は神。いつ神隠しに合うとも限りませぬ。ゆめゆめそれをお忘れなく』一一何やら普通に本丸に住まう本業の審神者は本名を刀達に教えないのが普通らしく、そう言い含められた一一が、自分より小柄でメジェド神の如く隠れてはいるが態度は捨てられた純血種の元飼い猫。
一一そんな仕草にはツイ愛でたくなるモノがある。