第37章 月島蛍は審神者である。2
床に転がしておいても良かったが、刀、物、とはいえ人の形をした者を放ってはおけない。
雪見だいふくを食べたのも多少の縁。
ほら、と寝台に寝転び布団の端をまくる。
そろそろ、と近寄りベッドの側まで来た山姥切は不思議そうにそれを見た。
「これは雛壇か?」
ツン、と指先でベッドに触れる山姥切。
「あんたやんごとなき方なのか?」
ツイとまんば布の間から碧の眼が月島を見る。
「雛壇じゃなくてベッド。寝具。ほら寒いから早く入って」
白い手を取れば山姥切はパァと赤らむ。
「ま、待て、しばし待ってくれ」
山姥切はそっと立ち上がり布の中でゴソゴソと何かやり出した。
ぼた、ぼた、と何かがまんば布の下に落ちる。
どうやら着たままだった服やら装具を外しているらしい。