第36章 月島蛍は審神者である。
フ、フ、と笑い三日月は裾を払いながら座す。
「俺の前に立ちはだかるとは中々に豪胆。主、では山姥切共々よろしく頼む。して……話したら喉が乾いた……主、茶をくれぬか」
着物の袂を口に当て三日月は云う。
「ハァ……」
月島はまだ震えている山姥切を引き剥がしつつ立つ。
「こんのすけ、じいさんが山姥切に意地悪しない様に見てて」
部屋の隅で丸くなる山姥切をこんのすけに託し部屋を出る月島。
再び戻ってきた時には二つのコップについだ麦茶を持っている。
「はい、どうぞ」
三日月と山姥切の前にコップを置き再びデスクの前に座る月島。
「ふ、む」
小首を傾げなら三日月はコップを見つめる。
「びぃどろの様な器だな……」
云いながら麦茶を口にし再びホゥと息を付く。
「俺の知る茶とは違うが中々に悪くない」
彼の知る茶、とは侘び茶なのだろうが月島には茶道の心得など当然ない。