第36章 月島蛍は審神者である。
「では月島様、鍛刀をしてみましょう。取り敢えず、あぷりの初期値で……」
話がまとまったとチュートリアルを続けるこんのすけに月島は眉を寄せる。
「ちょっと待って。資材は一ミリグラムも無駄にしたくないんで、黄金レシピとかいうのを使います」
云いアプリを器用に操作する月島に面くらいアワアワと口に出すこんのすけ。
「と、取り敢えず今回は手伝い札を使ってすぐ顕現させますね!」
こんのすけが云い、アプリの鍛刀画面が輝く。
サラサラと、桜が舞う演出が入りその中から出てきたのは一一、
「俺の名は三日月宗近。まあ、天下五剣の一つにして、一番美しいともいうな。
十一世紀の末に生まれた。ようするにまぁ、じじいさ。ははは」
…………
しばし場を沈黙が支配した。
皆が何も云えず顕現した三日月宗近を前に気圧されていた。
「な、何という強運!月島様……太刀の中でも随一のレアリティを誇る三日月宗近ですよ!」
こんのすけが甲高く叫び、三日月宗近は辺りを見回し小首を傾げる。