第1章 ~第一章~二人の日常
…――月日は流れ、ユーリが正式な国王になり数ヵ月…私達はあの日から変わらない日々を送っていた。
??「……さまっ、…ユヅキ様っ!!」
遠くで誰かが私を呼ぶ声が聞こえる…その声は聞きなれたとても心地良い声で、私は少しずつまどろみから目を覚ましてゆく
「……んっ…、……ユーリ…?」
薄く目を開けると、そこには私の顔を覗きこんでいる彼の姿があった。
ユーリ「…おはよう、ユヅキ様」
今朝もニッコリと優しい笑顔を浮かべながらユーリは私を起こしてくれる。
私がプリンセスになった日から変わらない、そんな彼の姿を見ていると執事だった頃の彼をふと思い出していた。
するとそんな私の様子に気づいた彼が首を傾げながら私に優しく尋ねてきた。
ユーリ「……どうしたのユヅキ?何かあった?」
「ううん、ちょっとユーリが執事だった頃を思い出していて……あれから変わらないなぁ…と思って…」
そう答えながら私は小さく微笑んだ。
でもそんな私とは対照的に、ユーリは少しだけ眉をよせて不安を滲ませた眼差しでユヅキにそっと尋ねた。
ユーリ「…夫婦になってもう1年以上も経つのに、まだたまにユヅキのことを"様"付けで呼んでしまう、執事みたいな俺は嫌…?」
その言葉に一瞬だけ驚いた顔をしたユヅキだったが、ふわりと優しく微笑んでユーリの首もとに腕を絡ませながら答えた。
「ううん、ユーリのそういうところも大好きだよ…」
そう言い終わると少しだけユヅキの頬は赤く染まった。