第2章 オリエンテーション
土日に必ず遊びに行くとか会うとか、そういう訳じゃない。
そういう訳じゃないんだけど、
窓から見える、章ちゃんの部屋の窓を見ても、そこに章ちゃんはいないと思うと少し寂しい。
…子供じみてるというか、「お前はなんなんだ」って感じだけど…。
やっぱ「わたしも働く!」って言えば良かったのかな。
安「しーちゃん?どーしたん??」
「ん?や、章ちゃん、休む間もないなーって思って…」
安「せやなぁ。まぁ、ゆっくりするんも好きやけど体動かしとくのもおれ好きやしなぁ。」
「…そっか」
初めてするバイトに思いを馳せるような章ちゃんのきらきらした顔を見てると、自分がやっぱり子供じみてるような気がした。
同い歳なのに、わたし、何してんだろ
安「ほな、またあとで」
「うん。」
章ちゃんと家の前で別れ、それぞれの家に入っていった。
「ただいま~」
「おかえり!なんやもー久しぶりな感じするわねぇ~
洗濯物、先に出しといてね~」
バッ!とリビングのドアを開け、顔を出したお母さんはそれだけ言って、また戻って行った。
きっとごはんの準備で忙しいのね。
言われた通り、先に洗濯物と、部屋に持って上がるものを分け、支度をした。
支度をするって言っても、章ちゃんの家に行くだけなんだけど…
けど、部屋着とかも少しでも「いいな」とか「可愛いな」とか思われたくてどんな格好で行くか悩むの。
結局、長袖に薄手のパーカを羽織って、下は半ズボンにした。
……この時期にいい感じの長ズボンを持ってなくて…
トレーナーとかあればいいんだけど……。