第2章 オリエンテーション
兎希「いーなー!いーなー!わたしもそういうやり取り出来る子欲しいー!」
「欲しいー!って…」
安「兎希ちゃんも来る?」
兎希「行かんわ!ヤッさんたちのとこまであたしバスやん!近所やない!」
「あ、近所に欲しいのね」
兎希「当たり前でしょー!昔はなーいたんだけどなぁ」
「あー引っ越す前の近所の男の子?」
兎希「うん…」
安「また引っ越せば?」
兎希「ヤッさん、あたしのこといらないとでも言ってるのかい?」
安「え?ちゃうよ?あっ、でもそっか引っ越すってなったらそうなるわな」
兎希「変な天然出さないで!」
「ふふふ」
いつの間にか変な気まずさもなくなって、自然と笑っていた。
なんか、そういうのも兎希のおかげな気がする。
兎希が間にいることで、『2人』ではなく『3人』になり、その『3人』だと気まずさを打ち消してくれる。
章ちゃんとほんとにしょーもない喧嘩というか、意見が違ったときとかも、『学校行くのもやだなぁ』と思ったとしても兎希に会って、話しても話さなくても『なんかあったのかな』って感じ取るのか、いつもよりわたしたちの表情見たりしてくれてる気がする。
もちろん、章ちゃんに比べたらまだまだ付き合いは短いけど、それを埋めるくらい、一緒にいる。
「兎希も、わたしの幼なじみみたいだよ」
ヤッさんはあたしなんかいなくてもいいんだーへー、といじけ続ける兎希が面白くて、笑いながらそう言った。
兎希「そんなことにゃ騙されませーん」
ふーん、と顔を背ける兎希の顔は微かに頬が上がってるように見えた。
嬉しいんじゃん。今、喜んでるよね?隠しきれてないよね??
「隠しきれてないですよ〜このお口とほっぺたが〜」
むにぃ、と兎希のほっぺたを摘む。
安「兎希ちゃんもよう顔に出るからなあw」
「も?」
摘んだまま章ちゃんの方を向くと、満面の笑みで「しーちゃんもすぐ顔出るで!二人ともほんまそういうとこ似てる!」と言われた。
「そ、そうかな」
兎希「ああひのほっへは、つまんふぁままへへないへ」
兎希が摘まれたまま言う。