第2章 オリエンテーション
「ねっむ…」
バスの中、隣で「あふ、」と章ちゃんがあくびをする。
それに釣られてわたしもあくびが出た。
2人で顔を見合わせて笑う。
「…あたしもあくび出たんだけど」
兎希が不満気な声を漏らす。
「え?あ、やっぱあくびってうつるよね!」
章ちゃんと笑っていたせいで、立っていた兎希の行動にまで目がいってなかった。
「いいけどさ」と小さく言って兎希が視線をずらす。
「この時間、人多いんやね。」
「ね。でもわたしたちも今度からこれくらいの時間になるよ」
今日からオリエンテーションで二泊三日、山の方に合宿に行く。
学校での時間規則、集団行動等に慣れよう!的なものだ。
そして、その合宿から帰ってきてその次の週らへんから、わたしたち1年生も【朝課外】というものに出席しなくてはいけない。
強制的なもので、サボればその分、単位が減るらしい。
ペナルティもあるとか。
「今度から眠くなりますなぁ」
ふぁ〜と兎希があくびをする。
「やっぱここ座る?」
今日も通路側に座っている章ちゃんが兎希に声をかける。
「んーん。荷物預かってもらってるし大丈夫。こっちのバッグもほとんど中身入ってないし。」
兎希に断られ、「わかった」と言いながら、兎希の荷物をしっかりと膝に置き直す。
「それにしても…あたしたち同じ班で良かったね」
「そやな〜」
「席のままで良かったよね。出席番号順とか言われてたらバラバラだったね」
オリエンテーションでは班行動ももちろんあるんだけど、
その班が今の教室の席のまま、5~6人の班を作るだけで良いという事だった。
一人余るとかが無ければよし!と。
だからわたしたちは、
横山くん、渋谷くん、章ちゃん、兎希、わたし、という班になることにした。
ちなみに、班長も決めなければいけなかった。
それに関しては…
「ヨコでええやろ」
と渋谷くん。
「は?!俺学級委員の仕事もあんねんぞ!」
と怒り気味の横山くん。
「それ言うたらおれたち図書委員もちょっと仕事あるで〜?雑用やけど。」
図書委員は何故か配膳用意がある。
食事の部屋を整えるという…。