第8章 言えば伝わる
コビーは全身を真っ赤にしてうつむく。
(どうしよう、そないやったらさんが僕の頭を撫でてくれるなんて・・・でも、そないやったらさんの前でなんて泣けないよ・・・男らしくないって思われちゃうし、そもそもびっくりして涙なんか引っ込んじゃった・・・)
目をぐるぐるさせながら、コビーは頭をめぐらせている。
「あの・・・」
「は、ははは、はいっ!!」
「コビーさん、頭撫でられるの嫌でしたか・・・?」
そないやったらは手をコビーの頭から離そうとした。
コビーは首を横にブンブンと振ると、離そうとしたそないやったらの手を握った。
「そないやったらさん、ありがとうございます。もう大丈夫です」
コビーが握っている手に力を入れる。
意を決したように、そないやったらの顔を見つめる。
「そないやったらさん、好きです」
一呼吸置いて、続ける。
「病院で出会った時から、ずっと好きです。僕はまだまだ弱いです。でも、そないやったらさんが傍にいてくれたら、もっと強くなれると思うんです」
「僕は将来、大将になりたいんです。そないやったらさんがいてくれたら、きっと大将になれます。あなたを守るために強くなりたいし、あなたの笑顔のために大将になって、より良い世界を作りたいからです」
「だから、僕と結婚して下さい!!」
そこまで言うと、コビーは目をギュッとつぶる。
そないやったらの手を握るコビーの手が小刻みに震えている。
コビーが目を開ける。
暖かいものが手の甲にポツンと落ちたからだ。
「あ、そないやったらさん?えっと、ええと・・・!!」
コビーがあたふたする。
そないやったらがポロポロと涙をこぼしているからである。
「あの、えっと、こ、これどうぞ」
焦りながらコビーはハンカチを渡す。
そないやったらが微笑んだ。
「私もコビーさんが好きです。ずっと一緒にいて下さい」