第4章 インターハイ、秘密の応援策
「し、しみずせんぱい?」
「ありがとう…」
その言葉と一緒に抱きしめる力が強くなり、
美月も応じるようにぎゅっと腕に力を入れた。
「今後の為にも、美月ちゃんがベンチに入るのは良い考えだと思ったんだけどな」
「な!?だめですよ!清水先輩がベンチにいないと皆絶対落ち着かないです!」
「そうかなー?…あ、そうだ。今朝ね、すごいもの見つけちゃったんだ。
美月ちゃんにも手伝ってもらおうと考えてたんだけど…ミサンガ作りで忙しいかな?」
「??」
清水は普段持ち歩いている鞄とは別の大きな袋をロッカーから取り出すと、
中に入っていたこれまた大きな黒い布を美月の前で広げた。
「…っ!!これっ!」
思わず清水を見つめる。
「すごい、よね。綺麗にしたら試合でも使えるかなって思うんだけど…」
「つ、使えます!使いたいです!繕いとか手伝いますっ」
ありがとう、と清水に微笑まれ美月も笑い返す。
(これが、試合会場ではためいたら…)
大きな会場に真っ黒の垂れ幕が下がる。
その光景を思い浮かべた美月の心臓は、ドクドクと強く脈打っていた。