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【黒子のバスケ】初心な二人

第1章 まず下の名前で呼び合おう


「お前らさ、ずっとそのままなわけ?」

部活帰りに日向とマジバに寄り道していた時の事だ。
目の前でズコーッと音を鳴らしながらドリンクを飲む日向がいきなり振ってきた話は、何の事だかさっぱり分からなかった。

「なにが?」

「お前ら一年の頃から仲良かったけどよ、付き合っても何も変わんねぇなって思ってな」

「だから、何」

「進展ねぇなっつってんだよ。名前さえ呼べてねぇじゃん」

その通りだ。
その通りなんだが、そう言われてもそんないきなり順応出来る訳もなく、今も友人だった頃とたいして変わらない付き合いをしている。
変わったのなんて、一緒にいる時間が少し長くなったくらいだろうか。

「だって、呼べないだろ。名前とか」

「あぁ?なんでだよ」

「じゃあ日向は呼べるっていうのか」

「なまえ」

「うわあああああああ!やめろ!呼ぶな!」

「呼べるか聞かれたから呼んだんだろうがっ、ダアホ!」

どうしてそうすんなり名前を呼べるのか。
下の名前で呼ぶのは思った以上に勇気がいる。
呼ばないんじゃない、呼べないんだ。

しかしこれ以上何も進展がないとみょうじさんに飽きられてしまうかもしれない。
このままではいけないとは思っている。
それが焦りとなっているのも事実。

「呼んでやれって、名前くらい」

「あぁ」

ここで呼ばなきゃ男が廃る気がした。
格好付ける必要なんてない。
どもるかもしれないけど、結局は俺も名前を呼びたいのだ。

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