第1章 まず下の名前で呼び合おう
高校生活二年目にして、俺にも春が訪れたようだ。
つい先日告白をしたのである。
同じ学年のみょうじなまえさん。
部活を終えてへとへとになって昇降口に向かい、靴に履き替える為に自分の名前が貼られた下駄箱を開けると、そこには可愛らしいピンク色に花柄デザインの封筒が入っていた。
人のロッカーと間違えたかと名前を確認する。
何度見ても確かに俺の名前で俺のロッカーだ。
ではこの手紙は俺宛という事か。
手に取って宛名を見ると、本当に俺に宛てたもののようだ。
差出人は書いてない。
筆跡を見る限り女子だろうと推測した。
家に帰って読んでみると、俺に好意があるので付き合ってほしいとの事。
初めての事だったので舞い上がってしまった。
手紙を貰ったので手紙で返事をするのが筋かと思ったが、こういうのは会って直接言いたくて、便箋に書いてあった学年クラス名前を頼りに下駄箱を探し出し、手紙を入れて昼休みに屋上に呼び出した。
告白は嬉しいがまずは友達からと話をした。
あまりみょうじさんの事を知らないのにその場のテンションでOKを出すなんて失礼だと思ったのだ。
俺の提案を受け入れてくれたみょうじさんと友人として付き合い始めて半年。
彼女に惹かれるのにそう時間はかからなかった。
改めて俺から告白して、気持ちを迎え入れてくれたみょうじさんと、今は恋人として付き合い始めている。
彼女と過ごす時間はとても穏やかで居心地がいい。
毎日が楽しかった。