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【黒子のバスケ】初心な二人

第3章 最初のキスは頬からにする


所望された綿菓子を買って店主に可愛いねと口説かれている様子にむっとした。
見せ付けるように握る手に力を込めると、くすっとなまえの笑う声がした。

金魚すくいに射的にくじ引き。
クレープにたこ焼きにカキ氷。
ひとしきり出店を堪能して、俺達は会場から少し離れた公園にいた。
きっと土手沿いは人で溢れ返っているだろう。
ここからなら二人で静かに花火を見る事が出来ると思っての移動だった。

「もうすぐだね、花火」

「久しぶりだよ、こうして花火を見るのは」

「私も」

公園のベンチに座ってぶらぶらと足を垂らす。
膝の上には先刻買ったいちご味のカキ氷。
なまえが口に含む度にシャリシャリと鳴る氷の音に唾を飲み込んだ。
なんだかなまえの横顔が艶かしい。
触れたいと、本能的に思った。

「あのさ、」

話しかけた瞬間、俺の声を遮ってドンッと大きな音がした。
音を追って空を見上げると、大きく浮かび上がる花火が暗闇を照らし始めた。
わあっと隣から感嘆の声が聞こえた。

「綺麗だね」

本当に綺麗だ。
花火の光に照らされる横顔に、こんなにも高鳴るとは。
会って姿を見たその時から、普段とはまた違った可愛らしさがあってドキドキしていたのは認める。
静かに花火を見上げて微笑むなまえを、改めて可愛いと思い、初めて綺麗だと思った。

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