第38章 If 夢主が白鳥沢に通っていたら…
『…あ、お弁当忘れた』
今月3回目。何だか最近、よくお弁当を忘れてしまう。それは恐らく、ここの生活にまだ慣れないから。
頭のいい学校に入れば、その分だけ勉強も増えるわけで…
まぁそれも、言い訳にしかならない。
白鳥沢の広いこと、広いこと…。
学食に行くのも最初は大変だったのは、つい最近の記憶だ。
『学食かぁ…ああいう場所、苦手』
しかし、背に腹は代えられない。午後からの授業は体育。絶対に食べないと倒れる。
───
学食に着くと、数人の先輩であろう男子生徒が屯(たむろ)している。
なるべく、離れて然り気無く通る。じゃないと
「あれ、キミ1年生?」
こうなる。
『…はい。急いでるので』
「俺らと食べない?丁度、女の子誘おうと思ってたんだ」
『いえ、結構です』
「まぁまぁ、そう言わずに」
『…お喋りな人は嫌いです』
そう断ると、急に後ろに腕を引かれた。
誰?、と顔を上げると身長の高い男子が二人立っている。
「待たせた。さ、行くぞ」
すると、絡んできた男子は何も言わずに渋々と歩いて言った。
「若利クン、男前~」
今、若利って言ったこの人?
もしかしてバレー部の…
「突然、腕を引いて悪かった」
『…いえ、大丈夫です』
「更に男前!でも確かに可愛いから声はかけたくなるよね」
「天童、やめろ。」
『あの…あ、ありがとうございました』
(よかったら、お昼ご一緒してもいいですか?)(…?)(そこはイイヨ。って言わなきゃ若利クン)(いえ、あの、ご迷惑なら)(迷惑じゃない。一緒でも構わないが、一つ頼みがある)
⇒オマケ