第32章 はじめまして
その声はあっという間に目に前まできて、私の顔を覗き込んできた。
『─っ!』
「ほらな!赤葦ッ!やっぱ、かなたじゃんかぁ!」
「あら、あらあら…随分と積極的なのね」
『ど…どうして、私だってわかったんですか…?』
「ん?んー…後ろ姿?雰囲気とか?」
そして、後ろから赤葦さんが申し訳なさそうに歩いてきた。
「春風さん、スミマセン。というか、そんなに大声出さないで下さい。本当、迷惑になります」
「コッチの子は、草食系男子って感じね」
「ところで、このソックリさん誰だ?」
木兎さんが、隣にいる人を見る。
「私?私は、かなたちゃんの姉です」
オイコラ。それはダメでしょ。
「えぇぇぇっ!お前、姉ちゃんいたのか!?」
…………。
『いえ、残念ながらいません』
「お前の姉ちゃん、本当美人だな!!」
「あの、春風さんの話…聞く気あります?」
「やだぁ、かなたチャンたら選り取りみどりじゃない」
『木兎さん。その人、私の"お母さん"ですからね』
「そうかそうか!お母…えぇぇぇ!!」
「お姉ちゃんでもいいじゃない」
『いい加減にして、お母さん』
(そう言えば、モデルさんだって言ってましたね)(えぇー!俺、初めて知った!)(そりゃ、木兎さんには言ってませんからね)(かなたチャン羨ましい!お母さんも、青春したい!)(とりあえず、チャン付けやめて)