第32章 はじめまして
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かなたside
あれは、もしかしなくても木兎さんと赤葦さん。赤葦さんはいいとして、何で木兎さんが…
っていうか、メガネしてマスクして髪の毛しばってるのに何故わかる。
勘か。しかも野生の…ここ都会だけど…
「あら?もしかして、かなたチャンの友達?」
『……いや、知らない人。そして、いい加減にチャン付けやめて』
「いやよ。かなたチャン、可愛いんだもの」
『外でベタベタしない』
「いやん、かなたチャン冷たいわ」
どうして、この人はいつまでもこうなんだ。
「ところで、あの二人のどちらがかなたチャンの彼氏なの?」
『いや、いやいやいや…知らない人って言ったでしょ』
「ふーん、じゃあなんであの子コッチにダッシュしてくるの?」
『ッ!?』
ふっ、と後ろを振り返るとオモチャを追いかける子供の如く、私達の所に走ってくる木兎さんが見えた。
ヤバいっ!!
「春風ーーーーっっっ!!シカトするじゃねェぞ!」