Fall in love with you【R18】
第11章 eleven
「烏養」
「んあ?」
居酒屋の暖簾を潜り外に出ると、アルコールで火照った身体を程よく秋風が冷ましてくれる。
「決めたなら、流されるなよ」
「あぁ……お前も早く彼女作れよ!」
「余計なお世話だ阿呆」
溜め息をつく直井の横に並んで学校までの道のりを歩く。
早く藍原に会いたい。
でも、もっとバレー部を強くしてやりたい。
どちらも同時に、とは行かねぇもんだな……
微かに白く染まる息を眺めながら、ポケットの中の携帯が震えるのを感じた。
ああ、噂をすればなんとやらってやつだな。
「お前、その緩んだ顔なんとかしろよ。威厳もクソもない」
「うっせー。いつもの事だ。威厳なんか元からねぇわ」
開き直ったせいで口の悪さが増した直井をシッシ、と追い払い明るくなった画面にパスコードを入力。
『お酒飲み過ぎないように。 明日、待ってます』
俺の彼女、最高。
「ほれ見ろーすげーいい女だろ」
「どれどれ……あぁほんとだな。お前にゃ勿体ねぇ」
言われずとも分かってる。でも他人から自分の彼女を褒められんのは嬉しいもんだよな。
『そこまで酔ってねぇよ。明日、帰ったらすぐそっちに行く』
一言だけ打ち返して、明日に期待してにやり、笑みを浮かべた。