Fall in love with you【R18】
第10章 ●ten
あれだけジタバタと動いていた手足の動きが止まり、微動だにしなくなった。
「藍原、いい?」
「……はい」
俺の胸に額を押し付けたまま、小さく頷く。
「そうだな、どっから話すっか……」
話の内容を纏めようと天井を仰ぐと、「今までで一番好きだった人のことが聞きたいです」なんてお願いが。
「おう、いーぞ」
今までで、一番好きだったひと
今も含めたらそれは当然藍原になるけど、
“過去”のなかで考えるのであれば
それは勿論ハルと答えるだろう。
「俺が今までで一番好きだったのは、大学んときに出来た彼女だな」
***
始まりは講義のとき。
後ろの席に座っていたハルのシャープペンシルが壊れて、前に座っていた俺が貸したという偶然からだった。
「烏養くん、だよね?申し訳ないんだけど、シャーペン貸してもらえないかな?」
困った顔が、可愛い人だと思った。
「おう。ドーゾ」
ちゃんと芯が出ることも確認して手渡すと「ありがとう」と本当に嬉しそうに笑った。
この人は表情がコロコロと変わるな
最初の印象はそんなもん。