Fall in love with you【R18】
第7章 seven
まだ少し蒸し暑い夜、
2人分の足音と微かな虫の音だけが響く。
決して居心地が悪い訳では無い。むしろ無言の時間も心地いいとすら思える。
小さな歩幅に合わせて歩くスピードを調整して、繋がれることの無い手をポケットに突っ込んだ。
チラリと目線を横を歩く彼女に移すと真っ先に目が行くふっくらとした唇。
こいつとのキス気持ちいんだよな…あと、美味い。
情事中のキスを思い出してゴクリ、喉がなる。
「なぁ、キスしてぇ。」
弾かれた様に俺を見上げる藍原。
真っ黒な瞳にじっと見つめられると吸い込まれてしまいそうな感覚に陥る。
「ここでは誰に見つかるか分からないので嫌です。」
意外とこいつは流されない。嫌なものはイヤって言うし、本当に俺のこと好きなのかよって疑いたくなる程スッパリ断る。
「見つからなきゃいいんだろ?」
ぐいっと腕を引き、周りに人の気配がしないのを確かめて路地裏へと入り口づけを落とした。
「っふ、ぁ…」
「ごちそーさん。」
やっぱり美味ぇわ。