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薄桜鬼~桜と誠と追憶のカケラ〜

第2章 if~貴方に忠誠を~


千鶴の供と言うことで部屋は千鶴の近くにある。そのため千鶴の部屋に行くことも許可は出されており自由に出入りできるのだ。


しかし、監視の目はあるが。


そこは勝手にすればいいと悠真は思いながら自分の部屋を出て千鶴の部屋に向かう。


「千鶴ちゃん」


「悠真・・・くん?」



「入りますよ」



一言告げて襖を開ける。千鶴は少しだけ肩の力を抜いて笑顔を浮かべた。安堵したような表情になんとも言えない感情が湧き上がる。


「昨日の巡察で、実はお団子を
買ってきたんですよ。
一緒に食べませんか??」

「え、お団子ですか?」


千鶴が父親探しに巡察に同行しているのを知った悠真は勿論千鶴と一緒に巡察に行くことにした。近藤の許可も出たし問題はない、土方が渋ってはいたが。その巡察の時こっそりと買ってきたお団子だ。


「お茶が必要ですよね・・・」


ふむ・・・小さく頷いて悠真は立ち上がる。千鶴は首を傾げれば、襖を開けて辺りを見渡す。


「誰もいませんからお茶入れてきますね」


「そ、それは!あの・・・まずいのではないでしょうか?」


オロオロと慌てる千鶴に悠真はニッコリ笑って頭を撫でる。


「大丈夫ですよ。見つかったらその人にお茶を入れてもらいますから」


「あの・・・でもそれじゃ申し訳ないです・・」


悠真は気づかれないように小さく溜息を漏らした。いつもこんなふうに周りに気を使って過ごしているのだろう。人の事ばかり気にして。

「なにも気にしないで待っていて下さい」


ニコリと笑って部屋から出る。千鶴はまだ何かが言いたげな表情だったけれど見て見ないふりをした。勝手場はどこだっただろうか。
考えながら歩いていると不意に背後から厳しい視線を感じた。ピタリと足を止めて振り返る。


「・・・おや、あなたでしたか」


「なにをしている」

鋭い視線で射抜くように見るのは斎藤だ。警戒心が強く伝わってくる。悠真はそれに臆することなくわざと肩を竦ませた。


「お茶を入れに行くんですよ」


「勝手に出歩くと迷惑だ」


「ふむ・・・ならば、斎藤さんあなたが入れてくれますか?」


「・・・俺が?」

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