第2章 if~貴方に忠誠を~
今日も・・・
千鶴は小さく溜息を漏らす。父を探すため江戸から京に来た。けれど待っていたのは有力な情報ではなく手がかりすら全くない状況。
ー¨秘密¨ーを知ってしまったため新撰組に拘束されて居候の身となった現在、こうして新撰組の幹部達が中心に京を巡察するのに同行して父を探している。
けれど今日もまた何も分からなかった。
焦りと不安が日に日に少しずつ広がっていく。それと同時に新撰組から向けられる警戒と監視の視線冷ややかな言葉と態度が千鶴の精神を蝕んで行く。
早く父様を見つけてここを出てしまいたい・・・
その思いとは裏腹になかなか見つからない情報に千鶴の気持ちは落ち込む一方だった。
「そう落ち込むなよ。次は、別な所で聞いてみるか。」
「ありがとうございます。」
千鶴の頭を撫で優しく微笑む原田。小さく笑って俯いた。新撰組の中で、彼はどちらかといえば優しいと思う。だけど、瞳の奥は鋭く
気を許してはいけないと千鶴はこの人の目を見るたびに思う。