第5章 カラス
外に出ると相変わらず人気はなく寒々としていた。
「よし、一回教会に戻るぞ。俺から離れるなよ。」
優月さんはそう言って歩き出した。
しばらく歩いていると優月さんは立ち止まった。
「あ?なんだよ?」
陽くんは不機嫌そうに優月さんをみていた。
「誰か来る。俺から離れるなよ。」
優月さんは剣に手をかけた。
私も少しだけ構えた。
向こうから誰かが走ってきた。
「うわぁぁぁ!誰か!誰か助けてくれぇぇ!」
そう言ってその人は私達の前に立ち止まり、
そして優月さんの足にすがりついた。
「なんだ?どうしたんだ?」
優月さんはその人に尋ねた。
「か、カラスが…カラスが出たんだ!!!!」
その人はかなり焦っているようだった。
"カラス"そう言っているのは分かった。
「…カラス…だと?」
優月さんは眉をひそめた。
『おいおい、ネタバレやめろよぉー』
"ッシュ"
その声と共にどこからともなくナイフが飛んできた。
"キィン"
優月さんはそのナイフを剣ではじき返した。
「ひぃぃぃぃぃ!!!」
さきほどの人は叫びながら逃げていった。
私達はそのナイフの飛んできたほうを見た。