第3章 戻った世界。
「元々あのゲームはモンスターを倒すとかそんなんじゃなくて、対人同士の戦いなんだ。」
「あの"ゲーム"は"偶然"俺が見つけて、友達誘って一緒に始めたんだよ。最初はお前らみたいにビビってたけど、気がつくと結構楽しくなっててさ。その時はこっちの世界で死んだり、ケガする事もなかったしさ。ただのゲームだったんだ。」
そう言って優月さんはふうっと溜息をついた。
「でも、ある時、おかしなことが起きたんだよ。あの世界で。」
「おかしなこと?」
「そう。リアルに痛みを感じて、傷がこっちにまで影響した。…そして死んだ者は復活しなくなった。」
「え?」
「何故か…それはわからない。とりあえず、俺達のギルドは戦闘を避けた。そして、出来るだけログインしないようにしたんだ。死人を出したくないから。でも、他のギルドの奴に偶然ログインした仲間を殺されてさ。それから頭に来た俺達はそいつらに挑んだんだ。でも、そいつら強くてさ、俺以外の仲間は全員殺された。」
「明らかに楽しんでる奴がいるんだ。全てをわかってて殺戮を繰り返す。俺は、そいつらを倒すまでこの"ゲーム"を辞めるつもりはないんだ。」
先程までバタバタしていた陽くんも大人しくなり、
シーンと静まり返った。
「まぁ、お前らはもう関わるな。」
そう言って優月さんは静かにニコっと笑った。
私と陽くんはうなづいた。
そうして、私達は優月さんのお店を出て、
学校に戻った。