第12章 現実世界。
ふと目を開けると、
そこは優月さんのカフェではなく、
真っ暗な部屋だった。
…あれ?
ここ、前も一回来たような…。
「やぁ。こんなところで会うなんて…。」
不意に後ろから声を掛けられ、
思わず心臓が跳ね上がった。
私はゆっくりと振り返った。
誰かが私に近づいてきた。
だんだん目が慣れて来たのか、
その人物が薄っすらと見え始めた。
「…樋渡…光…さん?」
私がその名を呼んだ時には
彼はもう私の目の前まで来ていた。
「よく覚えていたね。雛。」
樋渡光はニッコリと笑った。
「…あの…ここは…。」
「ゲームが終了したゲーム空間の中さ。」
そういうと、樋渡光は私の手をゆっくりと握った。