第11章 アカシックレコード
「とりあえず、今からカズとりっちゃんがここに合流する。樋渡の話しはそれからだ。」
ゲームの中だからか、
蘭丸さんの表情は先程よりこわばっていた。
その緊張した雰囲気に
私と陽くんは息を飲んだ。
「なんで、律さんとカズトラは先にこの世界に居るんだ?今はもう好きな時間にログインは出来ないようになってるはずだが…。」
優月さんがそう聞くと、
蘭丸さんは静かに笑った。
「ハッキングって奴ですよ。優月ちゃん。」
「…ハッキング?」
優月さんは眉をひそめた。
「そっ。これもシステムによって作られた産物。必ず穴はある。カズちゃんはそういうのに長けてるからねー。あの子顔と歌だけじゃないんだよ。」
そういうと蘭丸さんは満足気に笑った。
「律って奴もハッキング出来んのか?」
陽くんは首をかしげていた。
「りっちゃんはまた別。あの子は現実世界で意識がないから、たまーにゲームのシステムが起動しちゃった瞬間とかに吸い込まれちゃうみたい。今回もカズがハッキングして開いた瞬間、りっちゃんも入ったみたい。」
そういうと、蘭丸さんは溜息をついた。
何やら難しい会話に
頭が混乱しそうだった。
しばらく話していると、
教会のドアが開いた。