第11章 アカシックレコード
しばらくすると、
辺りに甘いさわやかな香りが漂った。
「へぇ!アロマっていい匂いするんだな!」
優月さんは嬉しそうに笑った。
「おう。ここだとちょっとコーヒーの匂いと混じってくせぇかもだけど。眠れない時とか、リラックスしたい時に炊いてみて!」
陽くんはニカっと笑った。
「これって何の匂い?」
私が尋ねると、陽くんは嬉しそうに話しはじめた。
「これは、イランイランとオレンジスイートと…あと、」
何やら呪文のような難しい言葉が羅列し、
配合などを陽くんはスラスラと語る。
陽くんって器用なんだなぁと
感心してしまった。
「二人とも、ありがとうな。手紙は後で読むな。」
優月さんは私達の頭をワシワシと撫でた。
「じゃ!俺もそんな優月ちゃんにプレゼントだ。」
蘭丸さんはニコニコと笑っていた。
「ん?」
優月さんは蘭丸さんの方を見た。
「"樋渡光"の中に入っている"ナニカ"の正体。少しだがわかったぜ。」
「…!!」
一気に空気が緊張した。
そして、蘭丸さんが口を開いた。
「樋渡光の中に居るナニカの名前は…」
その時、
頭が頭痛に襲われる。
…そうか。
もうそんな時間か。
私はあの世界へと
飛ばされる。