第11章 アカシックレコード
「…はぁ、本当はあまり深入りはしたくなかったんだが…。そんな話聞いちゃぁズラかれねぇな。」
蘭丸さんはそう言って煙草の火を消した。
「"ハコブネ"の討伐。全面的に協力してやるよ。優月。」
蘭丸さんはそう言って優月さんに拳を突き出した。
「…カラス…。」
優月さんは流れる涙をぬぐって、
蘭丸さんの拳に自分の拳をぶつけた。
「俺も優月って呼んでやるんだから、カラスって呼ぶの辞めろ。距離感じんだろ。」
蘭丸さんは不満げに口を尖らせた。
「あぁ。悪かった。蘭丸。」
優月さんがそう呼ぶと、
蘭丸さんは嬉しそうにニヤリと笑った。
「んで、てめぇらはどうなんだ?」
蘭丸さんは私たちの方を見た。
「あ?うっせぇよ。俺はお前より先におっさんの仲間なんだからな。偉そうにすんなっ!」
陽くんは口を尖らせながら拳を突き出した。
「私もっ!もっと強くなって優月さんのお手伝いをさせてもらいます!」
私も拳を突き出した。
「陽…雛…ありがとう。」
優月さんは優しく笑いながら、
私たちの拳に拳を軽くぶつけた。
「じゃぁ!優月ちゃんのためにもっと頑張ろうかね!」
そう言って蘭丸さんは店の出口へと歩んで行った。
「ドコ行くんだよ。」
陽くんは蘭丸さんをじっと見つめた。
「久々に実家に帰って…情報収集ってとこかな?うちの情報網はダテじゃないからね。」
蘭丸さんはそう言ってニヤっと笑って出て行った。