第10章 OLDEN DAYS
小さなレトロなカフェ。
いつも客がいなくて、
店内は静かで…。
夜にはバーに変わる仕様。
俺はなんだかお洒落なこの空間が好きだった。
"カラン"
「いらっしゃい。」
ドアをあけると、
マスターが俺を笑顔で迎え入れる。
「こんばんわ。」
「今日も頑張ってたね。優月くん。」
「はい。もう、すっげぇこのゲーム楽しいっす!」
そうだ、このゲームの存在を教えてくれたのは
マスターだった。
マスターはそんなに戦闘はしていないそうだ。
だから、俺はゲーム内でのマスターを知らない。
詳しい事はマスターも教えてくれない。
いつものようにマスターと雑談をしていると、
勢い良くドアが開いた。
"カラン"
「見つけたぁ!!!!黒田優月!!!!」
そこに現れた小さな少年は俺を指差しそう言った。
俺もマスターもポカーンとしてその少年を見つめた。
「…誰?」
俺は眉をひそめた。
「…っな!!!今日対戦したギルドのプリーストだ!覚えてねぇのか!?」
少年は頬をぷぅっと膨らませて怒った。
「今日…プリースト…あぁ!」
思い出した。
今日対戦したギルドには珍しくプリーストが居た。
でも、このプリーストがひどく使えない奴で…
回復はしない上に、
攻撃できないくせに前線に飛び出してくる
変な奴だった。
「思い出したか!」
少年は嬉しそうに鼻を鳴らした。