第1章 〈銀魂〉まずは肩慣らし
「根拠もあるんですぜィ」
「あ? 何のことだ?」
(こいつ、冗談じゃなくて本気で言ってたのか)
土方は沖田を見た。
「昨夜、どこへ行ってたんでさァ。土方さん?」
その言葉に、土方は目を見開いてピクッと反応する。
「……トシ?」
その様子に、神楽は不安になる。
「夜遅くに物音がしたんで部屋を出てみたら、あんたが外へ出て行くとこだった。そんで、明け方まで帰って来なかった……あんた、一体何してた?」
「……ちっ、見てたのか……」
土方は舌打ちをして目線を逸らした。沖田と神楽は顔を真っ青にしている。
「土方さ……」
「俺は……」
青ざめた顔をしている沖田の言葉を遮って、土方は口から煙草を外した。
「そこの占い師の姉ちゃんを守りに来てたんだよ」
「!? わっちを!?」
月詠は目を丸くして驚いている。
「あァ……近藤さんが人狼だったことを当てている以上、危ねェだろ。仮に人狼が近藤さんだけじゃなかったとすると、次に狙われんのは人狼を見破ることのできる唯一の人間で……占い師のあんただ」
「人狼が2匹いる確証もなかったのにか?」
「念の為だよ! おかしいか!?」