• テキストサイズ

【銀魂】夜桜が咲く頃に

第4章 〈銀時〉白馬の王子とは程遠く


 
「よし、大丈夫だ。これでいいか?」

「……っ」

 涙が溢れてくる。ただ怖かった。本当に……怖かった。

「もう大丈夫だ」

 優しい声が降り注ぐ。収まるまで泣いて、しばらくして漸く落ち着いた。

「……大丈夫か?」

「はい」

 久しぶりに発した声は涙声でガラガラだった。

「……明るい所まで送ってやるよ。家はどこだ」

「……帰りたく……ないです……」

 ただのワガママだ。育児放棄をする親の所に戻りたくないという気持ちが強くなる。暴力をして来ないだけマシじゃないのか? 言葉の暴力はなかっただろ? 自分で自問自答する。

「……わかった」

 男の人はそれだけ言うと歩を進めた。

「え、あの……」

「家に帰りたくないんだろ? それなら……」

 顔がこちらを向くと、銀髪の髪が少しだけ揺れる。

「今日は俺の家に来い。14歳の女が1人いる。安心しろ、俺は何もしねェよ」

「……」

 ーー甘えてもいいのだろうか……。
 自然と涙が出て来る。

「あ、あの!」

 私の前を歩く男の人に声を掛ける。

「な、名前は……なんて言うんですか?」

「俺か?」

 男は振り向いて優しく微笑んだ。



「坂田銀時。侍だ」



「さむ……らい……」
 
/ 88ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp