第4章 〈銀時〉白馬の王子とは程遠く
(助けて……)
口を押さえられている私は声を上げることができない。助けを求められない。
「……なァ、それってさ……合意なの?」
「あァ?」
男の人は私を見ている。
「なァ、姉ちゃん……それは合意なのか? それとも、そういうプレイなの?」
「……」
声は出せない。でも、できることならある。私は思いっきり首を横に振った。ーー違うと言うことを分かってもらうために。
「そうか……分かった」
男は木刀を使わずに、私を襲っていた男を殴った。
「うぐぁっ!」
背中を殴られ、脇腹を蹴られた男は地面へと転がって行った。
「……」
自分の肩を抱いて、男が銀髪の男に殴られているのをただ眺めている。しばらくして、強姦未遂をしていた男が気絶すると、銀髪の男は私に手を伸ばした。
「立てるか?」
「……」
恐怖で言葉が出ない。体も震える。震える手をなんとかして持ち上げ、彼の手を握り締める。彼の力でなんとか立ち上がった。
「……」
まだ震えている。支えがないと立っていられない。
「……大丈夫か?」
「……」
パクパクと口が動くだけで声は出ない。
「あーあ……怖かったな」
男の人は手際良く、私の服を整えてくれる。その優しい手つきに少しずつ心が落ち着いていく。服を着せてくれると、最後に頭に優しく手を乗せた。