第4章 〈銀時〉白馬の王子とは程遠く
ーーこんなことになるはずじゃなかった。ただ、体を触られるのを我慢してやればいいと思ってた。お金はないし、家には帰りたくない。そんな……切羽詰まった状態での軽い気持ちでやった行動だった。
「嫌! 辞めて!」
目の前にいるチャラい男は私を押し倒して、服を無理矢理脱がせようとしている。
「嫌! 嫌!」
首を振りながら必死に抵抗をする。でも、男の腕力には敵わない。
ーー嫌だ嫌だ嫌だ。こんなことするつもりじゃなかった。こんなことになるなんて思わなかった。
「誰か……」
声が震えて大きな声が出ない。それでも、誰かが助けてくれるんじゃないかと思っていた。
「……誰か……」
「うるせェな。いい加減、黙れ」
男は私の口を大きな手で押さえる。
ーー嫌だ……。
「なァ、ちょっと兄ちゃん」
そこに、1人の男の人が声を掛けた。涙目で私が見ると、そこには天然パーマの銀髪に死んだ魚のような目をした男がいた。腰には木刀を携えている。
「何だ」
「……」
ーーもしかして、助けに来てくれたのだろうか……。
「何してんの? 楽しいこと?」
「あァ? そうだよ! 分かってんなら、さっさとどっか行け!」
「……」