第3章 〈銀魂〉彼らは万事屋
銀髪の男は後ろの女をチラッと振り返った。未だに拳を硬く握りしめて、体を震わせている。
「結果、この姉ちゃんは会社を辞職せざるをえなくなってダチとは疎遠に、たった1人の肉親である母親は心労で入院、自分自身も鬱症状で精神科に通院中……酷ェ話じゃねェの?」
「くっ……お前たちはこんなことしていいと思っているのか? 殺し屋なんだろ? 急に僕が死んだら周りが不自然に……」
「ああ、それは心配しなくても大丈夫ですよ」
眼鏡の若い男が地面に這いつくばっている男に言う。
「僕たちは殺しのプロなので、そこら辺は上手く誤魔化せます」
「っ! 警察は! 今の警察はそんなのに騙されないぞ!」
「残念アルけど……」
オレンジ色の髪の毛を2つの団子で結っている若い女が男を見下ろして答える。
「警察の一部がアタシたちとグルね。だから、警察がこの事件を殺人事件として取り上げることはないアル」
「そ……そんな……」
男は絶望して元交際相手を見上げた。
「わ……わかった……もう2度と奈央には付き纏わない。反省してる……だから……」
「無駄です。その人に何を言っても……以前、警察に訴えた時にもそうやって心底、反省したふりをして……私が信じて起訴を取り下げた途端に、同じことを繰り返した……」