第3章 〈銀魂〉彼らは万事屋
「母子家庭だから可哀想だと思って色々と援助もしてやったのに、散々貢がせておいて恩を仇で返す気か!? 僕から逃げられると思ってるのか!? あァ!?」
「やめ……」
「そこまでだ」
「!?」
尚も酷い言葉を言い続ける男と泣きながら耳を押さえている女の間に1人の男が割って入り、男の腕を掴んだ。
「お前は誰だ!? 邪魔をするな!」
男は銀髪の男に声を荒げた。
「俺は万事屋の銀さん、殺し屋だ。この姉ちゃんに頼まれて、お前を殺しに来た」
「な……!? どういうことだ!? 奈央……お前!?」
女の人はふるふると体を震わせている。
銀髪の男は一瞬のうちに、掴んでいた男の腕を背中に回してそのまま地面に伏せさせた。
「あぅ……っ、ま……待ってくれ。僕はただ本当に奈央を愛してるだけで、殺されるほど恨まれることをした覚えは何も……」
「……確かに直接的な暴力はしてねェが、お前のやり口は……交際相手を過剰に束縛して一方的に大量のプレゼントを送り付けて、それに文句をつけると途端に激昂して壁や物に当たり散らして口頭で人格否定。おまけに、相手が別れ話を持ち出すと今度はその勤め先、友達、家族に誹謗中傷、脅しのメールや電話……」