第2章 〈沖田〉罪と罰
「……」
「まァ、そんな怖い顔してても……すぐに自白させてやりまさァ……」
彼は椅子に縛られて身動きが取れない私と目線を合わせるために、少しだけしゃがむ。
「それじゃァ、まずは尋問といきますかィ」
「……」
「正直に答えてくれたら、悪いようにはしねェでさァ」
「……」
ーーそんなわけがない。今まで私がやってきたことを警察が許すはずがない。
「まず、名前は?」
「……凛……」
「名字は?」
「……」
ーーそらこうなるわな。そんなことは分かっていた。名前しか言わなかったら、名字のことを聞いてくるなんて分かりきっている。当たり前なことだ。しかし、私は沈黙を貫いた。
「ふーん……」
沖田は少し離れたところに置いてある机の上の何らかの資料に目を通す。
「……分かりやした」
そして、再び私の目の前まで歩いて来る。
「じゃァ、質問を変えまさァ」
「……」
ーー必要以上の言葉は発しない。無駄な労力になるし、そんなことをしたところで逆効果だからだ。
「お前に林家の親分を殺した罪がかけられていますが……それは事実ですかィ?」
「……何のことか知らないわ」
私は目の前で目線を合わせている血のように赤い瞳を見つめる。