第1章 〈銀魂〉まずは肩慣らし
ーー夜。水面の上に占いの結果が浮かび上がる。それと同時に、館の扉が開く音がした。
「……やはり……ぬしが人狼であったか……」
足音が少しずつ近付いて来る。
「沖田」
「やっと分かりやした? 占い師さん」
月詠が後ろを振り向くと、頭に耳を生やした沖田が立っていた。
「土方がわっちを守りに来た時……そちは夜なのに起きていた。“物音がして目を覚ました”とは言ってないし、その後も明け方まで土方が帰って来るのを見張っていた。普通、そんなに起きてるか?」
人狼がいるとは言え、少し行動がおかしい。
「そちが人狼で、わっちを殺そうとしたけど……土方が守ってくれたおかげでわっちを襲撃できなかったとしたら、話は繋がるがな」
「……よくそこまで考えやしたね」
沖田はくつくつと笑っている。
「土方さんをどう貶めようか苦労しやしたがねィ。なかなか上手く事が運べて満足でさァ」
「色々と騙されたがな……それも今日で終わりじゃ……わっちを喰らっても、銀時と神楽がおる。貴様の負けじゃ」
「俺の負け?」
沖田はニヤリと牙を見せて笑った。その時、ガタンッと音がして乱暴に扉が開けられた。