第4章 碧色 あおいろ 完
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「ちッ!騒がしい奴等だ。
ちったぁ、静かにできねーのかよ!」
大きな鯨の形をした船の甲板で騒ぐ男達に舌打ちする。
彼女は男と見紛う程の髪の短さと、中性的な顔立ちで口が悪い。
額に青筋を浮かべながら、広大な碧を見つめていた。
そんな彼女の後ろから男が声をかける。
「いつもの事だろい?何、今更な事言ってやがる。
それより、さくらよい。
んな顔して海なんか眺めてどうしたよい?」
「別に。ちょっと昔思い出しただけだ。
あんた、相変わらずパイナップルだよな。」
「誰がパイナップルだい!」
「マルコに決まってんだろ?
この船さ、変な髪型の奴多いよなぁー。マルコ筆頭に。
さすが一番隊隊長!」
「髪型は関係ねーだろよい!
一回シメとくべきかねい。」
「お、やるか?泣きみても知らねーぞ!」
「こっちの台詞だい。」
こうしていつものようにマルコとさくらの喧嘩が始まる。
周りは囃し立て、どちらが勝つか賭けたりしてとても騒がしかった。
だが、今のさくらには興味はなく、ただ目の前のマルコを倒す事のみに集中している。
さっきまでのイライラした雰囲気は消え、楽しそうだ。
「だぁぁー、また負けた!くそッ!」
「まだまださくらには負けねーよい。
すっきりしたかい?」
「……………ぉう。ありがとな。」
「気にすんな。家族だろい?
何かあったら相談しろよい、この馬鹿たれが!」
「ん。」
そんなモビーでの日常の一コマ。
A(なぁ、マルコってささくらの事好きだよな?)
S(エースお前気付いてたのか?そっちにびっくりだ。)
A(ひでぇ。俺だってそこまで鈍くねぇよ!)
I(まぁ、マルコがわかりやすいだけさね。)
S(ぉわっ!)
A(ぅおっ!イゾウ居たのかよ。気配消して近づくなよなー、焦るじゃねーか。)
I(気ぃ抜きすぎなんじゃねーかい?)
S(四六時中警戒なんざしてられるか!)
I(ふっ、ちげーねぇ。)