第1章 優しいキスをして〈1〉
「だったら何? 私が誰とナニをしようと青木くんには関係ないよね?」
ダメだ
止まらない。
苛ついている感情を隠すことなくぶつけてしまう。
いつもの私ならそんな事をしないのに……
「アイツはやめといた方がええよ。めっちゃ女癖が悪いで」
「知ってるよ。
あの男に私以外の女がいることくらい」
だから、良いんだよ
お互いに割り切る事が出来るから。
私みたいな女を本気で愛してくれる人なんかいるわけないんだから
それでも必要とされたい。
ただの性欲の捌け口だと分かっていても
それでも構わない。
「私みたいな女と一緒にいてくれるなら誰でも一緒だよ。男が私を抱くのは、私の身体を必要としているからでしょ? それで構わない」
「ほんなら遠坂さん、オレでもええやんな」
「え?」
「あんな変な男よりオレのがええと思うで」
何を言ってるの?
「オレ遠坂さんのこと、好きやで」
「はい?」
唖然としている私の隣りでスマホをいじりだす青木くん
「ほれ……」
渡されたスマホの画面を見ると
「消されてる……」
登録してあった出会い系サイトが削除になってる。
文句を言おうと口を開いた瞬間に
LINEの通知音が鳴り響いて
「ブロックしたらアカンで?」
口角だけ上げて笑みを作ってみせるけど瞳は笑っていない。
何を考えているの?
それに私の事を好きって……
ウソか誠か分からないような笑みで
私を見つめる青木くん
それが私と青木くんとの始まりだった
<<<続く